ポリファーマシー問題に対して、薬剤師はどうすべきか?:薬剤師転職navi |
ポリファーマシーという問題
多剤併用というのは昔からありましたが、最近ではこれをポリファーマシーという風に呼ぶようになっています。
薬剤師さんの間でも、このポリファーマシーはよく話題に挙がっていますし、社会的にも問題になっていると思います。
実際、あなたの薬局でもこのポリファーマシーと呼べる患者さんは多数いらっしゃるのではないでしょうか。
特に多いのは高齢者のポリファーマシー。
血圧の薬や高脂血症、糖尿病の薬というように何種類も併用されている患者さんがいらっしゃると思います。
薬同士には相互作用がありますが、併用注意ぐらいではもはや何の効力もないのではないかという感じで処方されてはいないでしょうか。
精神科の処方を受けている薬剤師さんも、「何種類もの同種同効薬を併用して本当に意味があるのかと疑問を感じている」と語っていました。
ポリファーマシーによる弊害
ポリファーマシーがどういった弊害を引き起こすのかといえば、相互作用や有害反応によるものが大きいでしょう。
日本での調査によると、有害反応の発生率は併用薬剤が1~3剤であれば6.5%、6~7剤になると13.1%に上がるようです。
高齢者の中には十数種類の処方を受けている方もいらっしゃいますし、そういった方のリスクはかなり高いと呼べるでしょう。
また高齢者は腎機能の低下があるので、有害反応をより引き起こしやすいとなっています。
健康被害とは違った視点でポリファーマシー問題を見ると、医療費の無題遣いという風にも見られます。
本来必要ではない処方が行われているので、患者さんはリスクを背負っているのに医療費を余計に払わなければいけないですし、保険分の損失も大きいものとなります。
医療費の増大が著しい昨今では、厚生労働省もポリファーマシー問題には注目しています。
ポリファーマシー問題における薬剤師の役目
このポリファーマシー問題を改善するために大きく期待されているのが薬剤師です。
薬のプロである薬剤師が、処方をチェックし、その薬剤が本当に必要なものかどうかを判断する。そういった働きを期待されているのです。
とは言え、薬剤師一人が「これはポリファーマシーだ」と言っても何も解決しません。
処方権は医師にあるので、医師を納得させる事が出来なければダメだからです。
医師との連携が必要になってくるのです。
何故その薬剤が必要でないと思えるのか、医師に納得出来る理由を伝える事ができなければいけません。
例えば、あるポリファーマシーを受けていた患者さんの残薬を調べたら複数処方されていた血圧の薬を一種類しか飲んでいなかった。
その理由は、一種類飲めば血圧が安定していたからと。
そこで薬剤師さんが医師にその事を疑義照会し、併用を止めたという話があります。
残薬の確認からポリファーマシーを止めさせたという例もあるのです。
ポリファーマシー問題を解決するには、普段から薬剤師と医師とで意識を共有しておかなければいけないでしょう。
医師だからと萎縮せずに、薬のプロとして毅然として向かう必要があると思います。
そんな中でも在宅に関わっている薬剤師さんは、チームとして医療に参加しているので、医師との連携も上手く取れやすいのではないでしょうか。
患者さん自身の意識の問題も
また、患者さんへの意識改革も必要でしょう。
日本人は薬が大好きだからです。
国民皆保険のおかげもあるでしょうが、多くの日本人は薬の処方をあまり嫌がりません。
むしろ、効果があるなら欲しいと思う事が多いでしょう。
患者さんを満足させるために、医師が複数併用を行っている場合もあるのです。
そういった患者さんにポリファーマシーの弊害を浸透させる事で意識を変えていく。
かかりつけ薬剤師としての働きも期待されているのです。
薬の問題ですから、薬剤師が大きな影響を与えるのは間違いないと思います。
かかりつけ薬局・薬剤師として患者さんのQOLを高める。
その為に薬剤師自身が動いていかなければいけないでしょう。