セルフメディケーションは、薬剤師にとって追い風なのか?:薬剤師転職navi |
セルフメディケーションの啓蒙活動、やっていますか?
セルフメディケーション。
少し前くらいからこの言葉が急に世に出てきました。その原因は、公衆衛生の向上による日本人の寿命の延長によるもの。
それによって、高齢者の数が増え病院にかかる人が増え続けていること。
さらに、食事の欧米化により生活習慣病に罹患する人が増加してしまったこと。
結果、医療費の増大を招いてしまったからです。
自分自身の健康状態に気をつける知識がないと、すぐに医師を頼ろうと病院に行ってしまう。
実は大した病気でもないのに病院に行ってしまうので、そこでも無駄な医療費が発生したり、患者数の増加で医師のマンパワーが足らなくなったりという事態にもなっています。
国民皆保険の弊害?
国民皆保険が招いた弊害とも言えるのでしょうが、それに業を煮やした政府はセルフメディケーションを推進することで、患者さん自身に自分の健康状態を知ってもらったり、病気に対する知識を得てもらったりする事で、病気を未然に防ぎ、簡単な病気なら病院にかからずOTC等を利用し自分で治療できるようになってもらおうとしています。
そして、セルフメディケーション推進の為に白羽の矢が立っているのが、薬剤師です。
医師と同じレベルの医療知識を持ち、かつ治療の為の薬学知識は医師よりも高い。
医師よりも患者さんに近い位置にいる薬剤師がセルフメディケーションを啓蒙していく事で、膨れ上がる医療費を抑え、患者さんのQOLを高めていけるのです。
では、セルフメディケーションと言うのは簡単ですが、
実際に薬局で、薬剤師さんが求められている役割というのは何でしょうか?
薬局におけるセルフメディケーション
セルフメディケーションと聞いて、まず思い浮かべるのはOTCについてではないでしょうか。
薬剤師といえば薬の専門家です。病気や怪我をした時も、患者さん自身が適切なOTCを選び治療する事が出来れば、病院にかかる必要はなくなります。
薬の専門家である薬剤師が、相談に来た患者さんの症状を聞き、判断し、そして適切なOTCを販売する。
もちろん、OTCを販売するだけではなく、病気に対する養生法を伝え、医師にかかるべきかどうかの判断の目安を伝えるなどのアフターケアもできなければいけません。
またセルフメディケーションには予防医学に関するものも含まれます。
患者さんが病気にかからないように、どういった生活を送っていけば良いのか。
生活習慣病にかからない為には、どういった食生活をすれば良いのか。
予防医学の知識を提供したり、栄養士の資格があれば栄養相談もできたりするようになるでしょう。
薬局内で患者さんの為に、勉強会を開いている薬局さんもいらっしゃいます。
健康に関心を持っている患者さんにとって、そういった薬局は非常にありがたいものです。
薬剤師にとって、追い風
セルフメディケーションの推進は、薬剤師にとって更に追い風が吹いており、
2014年度には薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業として、セルフメディケーション推進の為の予算が組み込まれました。
また健康づくり支援薬局の認定を設けることで、地域密着型の医療拠点を作ろうとしているのです。支援薬局について詳しくは、こちらをご覧ください。
http://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2013/12/131213_1.pdf
2014年3月31日には、薬局での自己採血検査が法的に可能となりました。
これにより、病院にかかって検査をしなくても薬局で自己採血して検査結果を知ることができるようになったのです。
検査時間も機械を通して数分で済んでしまうので、長時間待たされるという事もなく気軽に受ける事ができるでしょう。
血糖値や脂質、尿酸値がわかる事で、糖尿病や高脂血症などの予備軍だと分かったり、治療が必要と分かったりできます。
そこに薬剤師が関わる事で、生活習慣の改善について指示をしたり、受診勧奨をしたりと薬局に求められる事は増えてきています。
医師になかなか聞きづらいという方も、薬剤師さんになら気軽に聞きやすいという場合も多く、医師に代わるセカンドオピニオンとして薬剤師が求められています。
セルフメディケーションと薬剤師の将来
医療費の増大はそれでもまだ進み続けているので、厚生労働省も今後さらにセルフメディケーションに盛り込む内容を増やしていくことでしょう。
それに伴い、薬剤師も薬学的な知識だけでなく、臨床検査に関する知識、予防医学に対する知識、栄養学に関する知識など、様々な方面での知識が求められるようになってきます。
あなたの薬局は、セルフメディケーション推進のために何か努力はやっていますでしょうか?
セルフメディケーションに対する知識・スキルを高めるには、実際にセルフメディケーションの推進活動をやっている薬局で働くのが一番早いものです。
もし、今後の薬剤師業界の流れについていくのならば、セルフメディケーションについての知識を高め、多くの経験を積んでおくべきなのかも知れません。
あなたの薬局がセルフメディケーションの推進に取り組んでいないのならば、セルフメディケーションの推進活動についての提言をしてみたり、それが難しければセルフメディケーションの推進活動をしている薬局を探してみたりとできるはずです。